里山学覚書

森林科の学生の自学メモ

「河川水辺の国勢調査のための生物リスト」を種名データベースとして活用する

こんにちは! 旅支度です。

今回は生物標本の名前を決定する際に役立つデータベースを作ったので紹介していきたいと思います。

目次

生物名統一の重要性

標本目録を作る際に問題となることの一つとして名前の統一性の確保があります。

地域によって変化する和名はもちろん、学名にもシノニムと呼ばれる異名を持つ分類群があります。また、研究によって名前が変化していくこともあるので図鑑によっても名称が異なるのはよくあることです。

同一の分類群を指す学名や和名が複数存在する場合、目録内部のみならず外部とも統一性を持たせなければ、それが名前表記の揺れとなってデータ活用の際に重大な障害となってしまいます。

「河川水辺の国勢調査のための生物リスト」の目的

ところで、国土交通省が行なっている「河川水辺の国勢調査」を知っていますか。以下に国土交通省のサイトからの引用を載せます。

「河川水辺の国勢調査」とは、河川を環境という観点からとらえた定期的、 継続的、統一的な河川に関する基礎情報の収集整備のための調査をいう。(出典:河川水辺の国勢調査の概要 [pdf]

『河川水辺の国勢調査ための生物リスト』は、「河川水辺の国勢調査」の調査結果の整理に際して、生物の和名・学名および配列などの統一を図る目的で作成されたものです。なお、「底生動物」、「動植物プランクトン」、「陸上昆虫類等」については、分類群の解明度や水辺環境との関連性から調査・同定の対象分類群の絞り込みが行われています。(出典:河川水辺の国勢調査ための生物リスト

この調査では河川水辺の生物の生息・生育データが全国から集められます。そこでその調査データの整理の際に生物名や配列を統一するために作られたのが「河川川辺の国勢調査のための生物リスト」というわけです。

「河川川辺の国勢調査のための生物リスト」の活用

このリストは河川水辺の国勢調査のために作られたものですが、それ以外の場面においても一般的な生物名を調べるのに役立つものと思われます。

しかしながら、当リストはエクセル形式で公開されているだけで、実際に個人的に活用したい場合に使いにくいと感じたため、Google Looker Studioを利用して検索機能を強化したデータベースを作成してみました。

さまざまな分類群が掲載されているため、学名・和名の文字列での検索では意図しないものも含んでしまう可能性があることから、分類群の検索を組み合わせることで狙い通りの分類群内での検索が可能となっています。加えて、分類群の大きさを可視化するグラフもつけたので、分類階層を行き来しながら楽しんでいただけたらと思います。

なお、誰でも利用できるようにするため、科以上の分類階層の名称については和名としています。

河川水辺の国勢調査のための生物リスト(令和5年度)Google Looker Studio

まとめ

今回は生物名統一の重要性の話から、「河川川辺の国勢調査のための生物リスト」の目的を説明し、さらに活用のため検索機能を付加したデータベースを紹介させていただきました。

何かのお役に立てば嬉しいです。お読みいただきありがとうございました。