Google Data Portalって何?
以前の記事で紹介したWebSpecimanagerはデータを登録・管理するのにはとても優れたシステムであるが、残念ながら得られたデータをグラフや地図の形で出力して可視化する機能はほとんど持っていない。そこで、その欠点を埋め、標本データベースの真価を引き出すのに有用なサービスが「Google データポータル」だ。
*データポータルは2023年現在、Looker Studioに名称が変更されています。
Googleデータポータルは、Googleアカウントがあれば誰でも無料で利用することができるサービスである。
My SQLなどのデータベースや、CSVファイル、Googleスブレットシートなどを「データソース」として接続したあと、そのデータをもとに「レポート」を作成する。レポートには表・グラフ・地図・検索窓などを自由に追加することができる。このレポート作成の自由度の高さがGoogle Data Portalの良いところだろう。
データソースを別に登録してあるため、データ更新がレポートに自動で反映されるのも便利である。
また、共有が容易な点もGoogleデータポータルの大きな特徴だ。リンクの作成やユーザーの招待によって、採集(研究)仲間と標本データを共有または、公開することができる。
注:データの公開は生息地を公開することでもあり、マニアの採集圧を高めてしまう危険性がある。そのため、希少種の採集地情報は都道府県レベルまでにし、且つ経緯度情報を小数点以下2〜3桁にしておくことなどにより、生息地をぼやかす必要がある。共有した場合も漏洩の可能性がつきまとう。このようなことから、標本データの公開・共有には慎重になるべきである。
こうした機能のおかげで、WebSpecimanagerとGoogle Data Portalを併用すれば、膨大な標本データの価値を最大限に引き出すことができるのである。
Googleスプレッドシートからレポートを作成してみる
ここでは、誰でも簡単に利用できるGoogleスプレッドシートをGoogleデータポータルのデータソースに登録して、それをもとにレポートを作成する方法を解説する。
手順1. 標本データのダウンロード
最初に、WebSpecimanagerで、CSVをダウンロードする。検索条件にあったデータだけがダウンロードされるので、全てのデータが必要な場合は、検索をかけていないか注意する。
手順2. スプレッドシートへCSVをインポート
次に、ダウンロードしたCSVをGoogleスプレッドシートに貼り付ける。新しいスプレッドシートを作成し、ファイル>>インポート>>アップロード、からCSVファイルを選択し、インポートする。
手順3. データソースの作成
Google データポータルで、作成ボタンから「データソース」を選択。
「Googleスプレッドシート」を選択。必要なスプレッドシートを選択して「接続」。
フィールドのリストが表示されるので、必要であればここからフィールドのタイプを編集する。次に「レポートを作成」を選択。
手順4. レポートの作成
自動で表が作成されるので、右側に表示されている「データ」編集画面から「ディメンション」(表の列のヘッダに対応)に必要な項目を足していく。設定の下の方にある「クロスフィルタリング」を有効にしておくことで、後で追加する検索窓の検索結果が表示されるようにできる。
「グラフを追加」からグラフやGoogleマップ、スコアカード(設定次第で種数や個体数を表示できる)を追加。さらに、「コントロールを追加」から、必要なコントロール(検索窓)を設置。コントロールのうち「入力ボックス」の設定は、検索タイプを「次を含む」にしておくと使いやすい。
また、地図を表示する場合、「位置」を「Japanese-place-name」に設定し、「Sub-family」によって色分け、円の大きさは「Record-count」によって決定すると良いだろう。
「ページ」>>「現在のページの設定」でレポートのサイズ調整。
データ更新は、データソースのスプレッドシートを更新することでできる。レポートに反映されるのは、自動だと少し時間がかかる。すぐに見たい時はレポートの上に表示されている点々マーク「詳細オプション」からデータの更新が可能。
工夫して使ってみよう
以上の手順でGoogleスプレッドシートをデータソースとするレポートが作成されたはずだ。設定次第で使いやすくなると思うので色々と工夫を凝らしてほしい。