双眼実体顕微鏡の選び方
ゴミムシサイズ(大きさ1cm前後)の昆虫の研究に必須のツールが、双眼実体顕微鏡です。
双眼実体顕微鏡は、低倍率で立体的に物体を見るための顕微鏡で、肉眼だと細部が確認できないような大きさの昆虫の標本を作る際や、ゴミムシを同定する際に必要となってきます。
安いものでも数万円するので、初めて買うときにはハードルが高いかもしれませんが、あるのとないのとでは見える世界が全然違ってきます。ある程度のスペックのものを最初に手に入れられると良いです。
スペックに関しては、例えば7〜45倍までのものなど、低倍率から高倍率まで無段階で調節可能なものが使いやすいです。
小学校の理科室にあるような、倍率2段階切り替えで豆電球がついてるようなのはダメです。安いからといって購入すると後で後悔します。
倍率は高い方が良いように思うかもしれませんが、昆虫用には10倍前後の低倍率が使用可能なことが重要です。なぜなら、昆虫の観察(特にスケッチ)では、全体像を見たいと思うことが多いからです。
ゴミムシの場合は、小さいと言っても1.5cmくらいのものを扱うことも多いと思います。顕微鏡を覗いて見える範囲は、10倍で直径約2cm、45倍で直径約5mmと、思っている以上に狭いため、10倍くらいの低倍率が使えないと辛いと思います。
ちなみに私は写真のホーザンの工業用のものを使っています。こちらは定価10万円程度ですが、アマゾンで6万円くらいで購入しました。有名なビクセンやオリンパス、ニコンのもっと高いものだと数十万円するものもあるようです。
ヤフオクなどで中古を安く手に入れるのもいいと思います。ただ、中古の場合、保管状態が悪いとレンズにカビが生えていたりする可能性があるので、注意が必要です。
照明装置
照明については、接眼レンズにつけて使うリングライト(写真)や、ダブルアームの顕微鏡用照明装置を使います。
リングライトは視野を均一な明るさにでき、ダブルアームは立体感の強い像を得ることができると言われています。
表面の微細な彫刻を観察するためにはダブルアームが良いみたいです。そのままでは光が強すぎる場合はトレーシングペーパーなどで光を弱めます。
ただ、ダブルアームは高いです。
また、黄色っぽい光は見にくいので、白っぽい光(白色LEDとか)のものを選ぶと良いです。リングライトは比較的安価で販売されているのでおすすめです。
下のリングライトは私が使っているものです。調節できて使いやすいです。
視度調節の方法
顕微鏡には接眼レンズが視度調節できるようになっているものがあります。
人間の目は左右で少しずつ視力が違っているので、良好な視界を得るためには片方ずつピントを調節する必要があります。
下記の手順に従って観察を始めるときに視度調節を行うことで、どの倍率においてもピントが合った状態となり、観察しやすくなります。
- 視度調節できる方のレンズのメモリを0に合わせる。
- 物体に、最高倍率でピントを合わせる。
- そのまま最低倍率に下げる。
- 視度調節できない方のレンズで見ながらピントをあわせる。
- 視度調節できる方のレンズを回してピントを合わせる。
- 完成!これでどの倍率で見てもピントが合った状態で観察できます。
<参考>